2026年4月第4週の金属市場週間レポート
2026年4月第4週の金属市場は、中東情勢そのものよりも、それが原油、ドル、金利、供給網にどう波及したかで金属ごとの強弱が分かれた週だった。貴金属には安全資産としての需要が残った一方、原油高がインフレ再加速懸念を強め、米金利の高止まり観測を通じて上値を抑える場面が目立った。週末時点では、金属全体が一方向に動くというより、インフレに弱い金属と供給不安に支えられる金属が分かれていたと見る方が実態に近い。
今週の共通材料は原油高とドル高だった。4月24日時点でBrentは週間で17%高の105ドル台、WTIも14%高の94ドル台で週を終えており、ホルムズ海峡の混乱が解消しないままエネルギー供給への警戒が残った。Reutersによれば、ドル指数も同日時点で98.8前後と、週間ではおよそ0.6%の上昇となった。原油高がそのまま景気を押し上げるというより、まずは輸送費や原材料コストを通じてインフレ圧力を強め、その結果としてドルと金利が支えられる構図が、金属市場全体の重石になったと考えられる。
景気指標の内容も、素直な需要回復というより供給不安への備えを示していた。S&P Globalの4月フラッシュPMIでは、米国の総合PMIが52.0、製造業PMIが54.0へ上向いた一方、その押し上げ要因として企業の在庫積み増しや調達前倒しが強調されている。ユーロ圏では総合PMIが48.6と再び50を下回り、サービスの弱さと価格上昇圧力の強まりが同時に意識された。主要先進国全体でも新規受注は2023年末以来の減少に転じており、足元の工業活動は実需の強さよりも、供給制約を先回りする動きに支えられている面が大きいように見える。
こうした環境では、ゴールドとシルバーは安全資産として買われやすい一方で、上昇が続きにくい。Reutersベースでは、金は4月24日時点で週間約3%安と4週続いた上昇の反動が出ており、銀も75ドル台半ばまで水準を切り下げた。地政学リスクがあるにもかかわらず金が伸び切れなかったのは、安全資産需要よりも「原油高で利下げが遠のく」という見方が同時に強まったためだろう。高値圏での調整と見る余地は残るが、少なくとも今週は逃避需要だけで押し切れる地合いではなかった。
プラチナとパラジウムも、貴金属でありながら工業用途の影響を強く受けるため、今回は金以上に選別された。週末時点でプラチナは2,000ドル近辺、パラジウムは1,470ドル前後と、いずれも極端に崩れてはいないが、自動車や欧州景気への慎重な見方、そしてドル高の影響で戻りは限定された印象がある。一方、銅は中国需要への不安が残るなかでも相対的には底堅かった。Freeport-McMoRanが4月23日にGrasberg鉱山の回復が想定より遅れるとして2026年の銅販売見通しを引き下げたことで、需給面では「景気不安があっても供給が十分に戻らない」構図が改めて意識されやすくなったためだ。
来週にかけての焦点は、原油高がなお続くのか、それとも供給不安の緩和が先に進むのかにある。前者なら、ゴールド、シルバー、プラチナ、パラジウムは安全資産としての支えを持ちながらも、高金利観測の下で戻り売りにさらされやすい。後者なら、貴金属の地政学プレミアムはやや薄れやすいが、銅は鉱山側の供給制約が残る限り下値が限られる可能性がある。4月第4週の金属市場は、同じ不安材料の下でも何が価格決定力を持つかが金属ごとに違うことを、改めて示した週だった。