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market-analysis2026-04-28

2026年4月28日の金属相場概況

Written by metal
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2026年4月28日時点の金属市場は、地政学リスクそのものよりも、原油高が金利見通しと供給不安の両方を押し上げている点が相場の軸になっている。ゴールドは安全資産としての支援を受けやすい局面にありながら、足元ではその効果がそのまま上昇に結びついていない。背景には、原油高がインフレ再加速の連想を通じて中央銀行の慎重姿勢を強めるとの見方があり、逃避需要と高金利警戒が拮抗している構図がある。

実際、4月27日の海外市場では金は1オンス4,700ドル前後でほぼ横ばい圏にとどまり、Brent原油は105ドルを上回る水準まで上昇した。市場では、ホルムズ海峡の通航制約で原油供給が締まったままの状態が続くなら、Fedを含む主要中銀は利下げに動きにくくなるとの受け止めが強い。金にとっては本来支援材料である地政学リスクが、今回はドルと実質金利の高止まり観測を通じて上値を抑える側にも回っている。

4月のS&P GlobalフラッシュPMIも、金属市場にとっては素直な景気回復シグナルというより、スタグフレーション色を補強する内容だった。米国では総合PMIが持ち直したものの、その一部は企業が供給不安を見越して在庫を積み増した効果とされ、主要先進国全体でも2022年以来で最も広範な供給遅延と価格圧力の強まりが示されている。需要が全面的に強いから買われるというより、供給の不安定さがコストと先回り需要を押し上げていると読む方が自然だろう。

この環境では、シルバーは金に連れやすい一方で、工業用途を抱えるぶん景気への慎重な見方も受けやすい。プラチナとパラジウムも同様で、原油高と高金利懸念が自動車や製造業の需要見通しを重くしやすく、金ほど逃避需要だけでは上がりにくい。特にPMIが示した「需要は弱いがコストは上がる」という組み合わせは、PGMにとって追い風と逆風が混在する局面であり、供給障害が新たに深刻化しない限り、方向感は出にくいように見える。

一方、銅は景気減速懸念を抱えながらも、供給側の制約が相場を支えている。Goldman Sachsは、ホルムズ海峡の混乱継続と中国の硫酸輸出停止が重なると、銅生産に必要な硫黄・硫酸の流れが滞り、チリやコンゴ民主共和国の供給に影響が及ぶ可能性を指摘した。企業側でも、BHPはEscondidaとAntaminaの堅調さを示した一方で、中東情勢を背景とするエネルギー・消耗材コストの圧力に言及している。Teckは四半期で過去最高の銅販売を示したが、好業績そのものが需給の緩さを意味するわけではなく、高価格と供給不安が同時に残っていることを映している。

さらに、Freeport-McMoRanがGrasbergの回復見通しを引き下げたことも、銅の下値を固くしている。景気指標だけを見れば工業金属には逆風が意識されやすいが、主要鉱山の立ち上がり遅れや原材料・物流の制約が続く限り、銅は需要鈍化だけで大きく崩れにくい。4月28日時点では、ゴールドは原油高がもたらす高金利観測に上値を抑えられ、シルバーやPGMは景気敏感さとの綱引きが続き、銅は供給制約で底支えされるという、金属ごとの差がいっそう明確な地合いといえる。