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market-analysis2026-05-01

2026年5月1日の金属相場概況

Written by metal
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5月1日朝時点の金属市場は、全面的な強気に戻ったというより、月末にかけて進んだ売りの反動と、ドルの一服が重なって持ち直している局面と見る方が自然だろう。4月29日のFOMCでは政策金利が3.50%から3.75%に据え置かれた一方、声明ではエネルギー高によるインフレ懸念が明示され、緩和方向の示し方を巡って反対票も出た。中東情勢を受けた原油高が残るなかでは、金属市場にとっても「有事」そのものより、原油を通じたインフレと金利の経路が引き続き主題になっている。

金と銀は、その文脈のなかでようやく自律反発を見せた。4月30日のReutersベースでは、金先物は1オンス4,629.60ドルで引け、スポット金も4,618ドル台まで戻したが、月間ではなお2カ月連続の下落方向にあった。銀も73ドル台半ばへ戻し、プラチナとパラジウムも大きく反発したが、これは高金利懸念が消えたというより、原油とドルの上昇がいったん過熱から離れたことへの反応とみた方がよい。安全資産需要だけで金が一方向に買われる地合いではまだなさそうだ。

プラチナとパラジウムの戻りが金以上に大きかったのは、前日までの下げが深かったことに加え、ドル安局面では相対的に買い戻しが入りやすかったためだろう。ただし、白金族金属は自動車需要や景気循環の影響を受けやすく、金のように金融条件だけで語り切れない。原油高が長引けば消費や生産コストを通じて景気には逆風となりやすく、足元の反発がそのまま基調転換を意味するとはまだ言いにくい。

銅はこの日、貴金属よりもやや素直に中国材料を織り込んだ。4月30日のLME3カ月銅は13,119.50ドルまで上昇し、Reutersによれば上海先物取引所の在庫も前週比4.6%減の192,025トンまで取り崩されている。背景には、中国の4月製造業PMIが底堅かったことがある。公式PMIは50.3と拡大圏を維持し、S&P Globalがまとめた民間のRatingDog PMIも52.2と2020年末以来の高水準だった。新規受注や輸出の強さは銅には支援材料だが、非製造業PMIが49.4へ落ちた点まで含めると、中国需要全体が一様に強いとまではまだ断定しづらい。

供給面では、銅の下値を支える材料が引き続き多い。S&P Globalの4月PMI資料では、世界の製造業は成長鈍化と同時に在庫積み増し、納入遅延、原材料高に直面しており、供給不安に備えた前倒し調達の色が残る。Reutersが伝えたFreeport-McMoRanの4月23日材料でも、インドネシアのGrasberg鉱山は回復が従来想定より遅れ、下期までに戻る生産は従来見込みの85%ではなく約65%にとどまる見通しとされた。原油高に絡む物流や副資材の緊張も残るため、銅は需要不安だけでは崩れにくい構図が続いている。

当面の見方としては、金・銀はドルと米金利の方向感にまだ強く縛られ、プラチナ・パラジウムはその上に景気敏感さが重なるため、戻りが続いても値動きは荒くなりやすい。一方で銅は、中国の輸出主導の受注と供給制約が支えになる半面、原油高が世界成長を冷やせば上値も追いにくい。足元は「全面弱気」でも「全面反転」でもなく、エネルギー高と金利高の圧力のなかで、貴金属の反発と工業金属の底堅さが併存している局面として、やや慎重に見ておくのが妥当に見える。

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