2026年7月第三週の金属相場振り返り
今週の全体像
2026年7月第三週の金属市場は、地政学リスクがそのまま貴金属買いにつながるというより、原油高を通じたインフレ・金利警戒が前面に出た週だった。米国とイランの緊張が再び強まり、ブレント原油とWTIは週末にかけて大きく上昇した。通常なら安全資産としてゴールドを支えやすい材料だが、今回はエネルギー高が米金利とドルを押し上げる方向にも働き、金属全体には重さが残った。
貴金属の動き
ゴールドは週中に4,000ドルを割り込む場面があり、週末には買い戻しが入ったものの、週次では下落して終えた。中東情勢の悪化は下値を支える材料である一方、原油高がインフレ再燃と米利上げ観測を強めるなら、利息を生まない金には逆風になる。中央銀行買いのような構造的な支えは残るが、短期的にはドルと米実質金利の反応を無視しにくい局面だった。
シルバーも週次では弱く、金以上に景気敏感面が意識された。太陽光、電子部品、産業用途への期待は長期の支えになり得るが、足元で燃料費や金利が上がると、工業需要の見通しは慎重に見られやすい。プラチナとパラジウムも、自動車触媒や工業需要への依存があるため、避難需要だけで買われるというより、消費、金利、燃料価格を合わせて評価される展開になった。
産業金属と銅
銅は、需要不安と供給制約がぶつかる相場だった。ロンドンの3カ月物銅は週末に下げ、週次でも小幅安となったが、下げの理由は単に中国需要が弱いからというだけではない。中東情勢が株式市場を冷やし、燃料費や輸送費の上昇が製錬・加工コストへの懸念を強める一方、LME在庫の引き締まりや現物の入手しにくさは下値を限定する材料として残っている。
鉱山会社のニュースも、銅を一方向に見づらくしている。BHPは通年で約200万トンの銅を生産し、銅価格が前年から大きく上昇したと説明した一方、インフレ、ディーゼル価格、サプライチェーンの負担を引き続き意識している。Rio TintoではOyu Tolgoiの増産が進んだが、世界全体で見れば新規供給はすぐに余裕を作るほど速くない。AlcoaがPinjarra製油所の不安定さやガス供給問題でアルミナ見通しを引き下げたことも、金属市場ではエネルギーと操業リスクが同時に効きやすいことを示している。
来週見る材料
PMI面では、6月の世界景気はサービス主導で持ち直した一方、戦争初期に強かった在庫積み増しの効果は薄れ、基礎素材や金属・鉱業の勢いは冷え始めたと見られる。S&P Globalの7月見通しでは、商品価格前提の低下がインフレ見通しを少し和らげたものの、足元の原油再上昇でその前提は再び試されている。来週は、7月下旬のPMI、米金利、ドル、原油のどれが主語になるかを確認する週であり、金属相場は強弱を決め打つより、需要鈍化と供給不安のどちらが価格に強く残るかを見極める段階にある。