原油急落とPMI改善を受けた金属相場
日本時間28日朝時点で確認できる直近の金属相場は、米国時間27日の原油急落を受けて、インフレと金利をめぐる警戒がやや和らぐ中で推移した。米国とイランの攻撃停止を受けてブレント原油は大きく下げ、前週に意識された100ドル台の緊張はいったん後退している。ゴールドはこの流れの中で小幅に買われたが、地政学リスクそのものを強く買うというより、原油安が実質金利見通しを少し緩めたことへの反応と見る方が自然だろう。
ただし、ゴールドの上昇はまだ決定的な方向転換というより、4,000ドル台を維持できるかを試す動きに近い。ドル指数がやや軟化したことはドル建て金価格の支えになった一方、今週は米連邦準備制度理事会の政策判断と米PCE物価指数が控えており、金利低下を先取りしすぎるには材料が足りない。原油が下がったことで「すぐに追加利上げ」という懸念は薄れたが、供給不安や関税の影響が残る限り、金の買いは安心感よりも慎重な保険需要として残りやすい。
シルバーは、現物では買い戻しが見られた一方、先物や指数では重さも残り、ゴールドほど方向感が単純ではなかった。景気敏感色の強い金属であるため、原油安とPMI改善は支援材料になり得るが、直近の値動きには投機的な振れも混ざりやすい。プラチナとパラジウムはこの日は相対的に堅調で、リスク回避一辺倒の相場ではなくなったことを映した面があるが、自動車触媒需要や流動性の薄さを考えると、短期の上げだけで需給改善を断定するのは早い。
銅は、需要と供給の両側から材料が出ている。S&P Globalの7月フラッシュPMIでは主要先進国の活動が改善し、日本でも製造業の生産が強く伸びたとされ、工業金属には景気回復期待が入りやすい。一方で、その一部は中東情勢を背景にした予防的な在庫積み増しとも説明されており、実需が持続的に強くなったのか、一時的な先取り需要なのかはまだ分けて見る必要がある。
供給面では、チリの天候や一部鉱山の操業障害が銅価格を支えやすい一方、大手各社の発表は必ずしも供給不足だけを示していない。BHPは通年で約200万トンの銅生産を示し、Rio TintoはOyu Tolgoiの増産進捗を確認している。Freeport-McMoRanも第2四半期の銅販売が事前見通しを上回った一方、Grasbergの完全回復にはなお段階がある。つまり銅は、目先の障害で上がりやすいが、中期では大手鉱山の回復・増産計画との綱引きになっている。
今日の相場を一言で言えば、原油安が金属全体の緊張を少しほどいた日だったと言える。ゴールドは金利見通しの緩みを受けて下値を固め、シルバーや白金族はリスク選好の戻りに反応し、銅はPMIと供給不安の双方を材料にした。ただし、原油安は中東リスクの解消ではなく一時的な緩和であり、PMIの改善も在庫積み増しの影響を含む。したがって、ここから見るべきなのは価格の高さそのものではなく、原油が再び跳ねた時にも金属が同じ方向に動くのか、それとも金利・需要・供給で分かれて動くのかという点だろう。