2026年7月29日の金属相場概況
2026年7月29日朝の金属市場は、前日の米欧市場で進んだ「地政学リスクの巻き戻し」と、FOMCを前にした金利警戒が同時に効いている。米国とイランの戦闘休止観測で原油が大きく下げ、安全資産としての買いはやや後退した。一方で、エネルギー価格の低下はインフレ懸念をいったん和らげる材料でもあり、金属全体を一方向に弱気へ傾けるほど単純な地合いではない。
ゴールドは4,000ドル台を維持しながらも、前日比では押される展開となった。原油安によって中東リスクのプレミアムが剥がれたことに加え、7月28日から29日に開かれるFOMCを前に、米金利がどこまで低下できるかを見極めたい空気が強い。ドルが大きく崩れず、利上げの可能性も完全には消えていないため、金は安全資産買いだけで上値を追うより、政策金利と実質金利の確認待ちに近い動きになっている。
シルバーもゴールドに連れて軟化したが、下げの意味合いは金とは少し異なる。銀は貴金属であると同時に工業金属としての性格も強く、最新のS&P GlobalフラッシュPMIで主要先進国の景況感が改善したことは本来なら支援材料になりやすい。ただし、同じPMIでは供給網や価格圧力への警戒も残っており、需要期待だけで買い上がるには材料がやや混在している。銀の値動きは、景気敏感部分の強さと、貴金属としての金利負担の間で揺れていると見たい。
プラチナとパラジウムは、自動車触媒向け需要の見方がまだはっきりしないなかで、金銀よりも個別材料待ちの色が濃い。原油安はインフレや製造業コストの面ではプラスだが、景気の強さをそのまま示す材料ではない。PMIが改善しても、在庫積み増しや一時的な需要の影響が含まれている可能性があるため、自動車生産や排ガス規制関連の実需が伴うかを確認する必要がある。プラチナは下値で買い戻しが入りやすい一方、パラジウムは電動化の構造変化もあり、戻りの持続性を慎重に見たい局面である。
銅は、短期的には利食いやドル動向に押されやすいものの、供給面の緊張が相場を下支えしている。AntofagastaはチリのLos Pelambresで豪雨と停電を受けた一時的な停止から操業を再開し、通期生産見通しは維持したが、天候リスクが銅供給の脆さを意識させたことは確かだ。BHPやRio Tintoの直近の生産更新でも、銅は中期的な成長分野として位置づけられている一方、コスト、サプライチェーン、鉱山ごとの操業差は残っている。銅相場は、需要の強さだけでなく「供給が簡単には緩まない」ことを織り込み続けている。
今日の焦点は、原油安が金利見通しをどこまで和らげるか、そしてFOMC後にドルと米長期金利がどちらへ反応するかに移る。ゴールドとシルバーは政策金利への感応度が高く、銅はPMIと供給障害の両方を見ながら方向を探る展開になりやすい。プラチナとパラジウムは、景気指標だけではなく自動車需要の確認が必要だ。現時点では、原油安による安心感と、中央銀行イベント前の警戒が相殺し合っており、金属市場は結論を急ぐより、FOMC後の金利・ドル・原油の組み合わせを見直す段階にある。