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market-analysis2026-04-25

2026年4月25日の金属相場概況

Written by metal
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2026年4月25日時点の金属市場は、同じ地政学リスクを見ながらも、金属ごとに反応がかなり分かれる週末を迎えている。中東情勢を背景とする原油高は金属全体の共通材料だが、それが安全資産需要を通じて貴金属を支える一方、インフレ懸念と金利高止まり観測を強めることで、むしろ上値を抑える面も出ている。足元では「リスク回避だから金が一方的に強い」という単純な構図ではなく、原油、ドル、金利、供給網のどこにより強く連動するかで、金属ごとの強弱が分かれていると見た方が自然だろう。

4月23日に公表されたS&P GlobalのフラッシュPMIは、その分岐を裏づける内容だった。米国では製造業PMIが上向いたが、背景には中東情勢や物流不安を意識した在庫積み増しがあり、需要の自律的な回復とまでは言い切りにくい。一方でユーロ圏の総合PMIは節目の50を下回り、景気鈍化と価格圧力の併存が意識された。日本でも製造業の持ち直しは確認されたが、サービス業はやや減速しており、世界の工業需要が全面的に強いというより、供給不安が短期の数字を押し上げている側面がまだ大きいように見える。

このためゴールドは、安全資産としての支えを保ちながらも、4月24日の取引では週足で見てやや軟調だった。Reutersによると、金は原油高を受けたインフレ懸念から、米金融緩和の後ずれを意識した売りに押され、週間では下げ方向となった。シルバーも同様に、金に連れやすい安全資産の顔と、工業金属として景気の影響を受けやすい顔を併せ持つため、こうした局面では戻り切れない。安全資産需要そのものが消えたというより、原油高が金利低下期待を削いでいるため、貴金属に素直な追い風になっていないと整理するのが妥当そうだ。

プラチナとパラジウムも、今回は金より銅に近い難しさを抱えている。両金属は貴金属としての性格を持ちながら、自動車触媒や工業用途への依存が大きいため、ユーロ圏景気の鈍化やドル高の影響を受けやすい。とくにパラジウムは戻りの鈍さが続きやすく、プラチナも基調は崩れていないものの、積極的に上値を試すには需要面の裏づけがまだ弱い。供給障害が新たに出れば反応は急になり得るが、現時点では金と同じ理屈だけで強気に傾く局面ではないだろう。

その一方で、銅は相対的に底堅さを保っている。週前半にはイラン停戦延長を受けたリスク選好で上値を試し、その後も米国のComex価格がLMEに対して上乗せされた状態が続き、米国向けの現物流入が意識された。加えて、Freeport-McMoRanは4月23日にGrasberg鉱山の回復が従来想定より遅れる見通しを示し、2026年の銅・金販売見通しを引き下げた。さらにGoldman Sachsは、ホルムズ海峡の混乱と中国の硫酸輸出停止方針がチリやDRCの銅生産に制約を及ぼす可能性を指摘しており、景気不安があっても供給面の警戒が価格を支えやすい構図が続いている。

当面は、原油高がインフレ懸念を通じてドルと金利を押し上げる流れが続くのか、それとも供給不安の緩和が先に進むのかが焦点になる。前者ならゴールド、シルバー、プラチナ、パラジウムは高値圏での整理が続きやすく、後者なら安全資産需要の後退で貴金属はなお選別されやすい。銅も一方向に強いというより、実需の鈍さと供給リスクの綱引きの中で高値圏の値固めを試す展開になりやすい。4月25日時点では、金属全体を一括りに判断するより、インフレに弱い金属と供給不安に支えられる金属を分けて見る方が、足元の相場には合っている。