5月第3週の金属相場
2026年5月第3週の金属相場は、貴金属が金利とドルの影響を強く受ける一方、銅は供給制約を背景に相対的な強さを保つ、やや分化した週だった。週末にかけては、米金利の上昇とドル高が金の重しとなり、銀、プラチナ、パラジウムも連れ安となった。価格そのものよりも、なぜ買いが続きにくかったのかを確認する週だったと言える。
金は週末にかけて下押し圧力が強まり、Reutersは、米国債利回りの上昇とドル高が非利回り資産である金の魅力を削いだと伝えている。加えて、原油高がインフレ懸念を通じて金利の高止まり観測を補強し、金にとっては追い風になりにくかった。短期的には安全資産としての需要が残っていても、実際の売買では実質金利と為替の影響が優先されやすい構図が続いている。
銀、プラチナ、パラジウムも同じ週に軟調だったが、その意味合いは金より少し複雑である。銀は金と同様に金利上昇の影響を受けるうえ、景気敏感な性格からリスク資産としての見方も混じるため、ドル高局面では戻りが鈍くなりやすい。プラチナとパラジウムは自動車向け需要や工業用途の先行きにも左右されるため、金融環境の引き締まりが意識される場面では、金以上に値動きが不安定になりやすい。
一方で銅は、週を通じて比較的底堅い値動きだった。Reutersは、Freeport-McMoRanのインドネシア・Grasberg鉱山の生産回復が想定より遅れる見通しを材料に、銅相場が3カ月ぶり高値圏に入ったと報じている。上海先物取引所の銅在庫も前週比で減少しており、需要の強さというより、供給の出しにくさが価格を支えている印象が強い。銅は景気指標に敏感だが、この週はマクロの減速懸念よりも供給側の制約が前面に出た。
S&P GlobalのPMI関連コメントでも、5月に入って供給遅延と価格上昇圧力が再び意識されている。これは銅のような実物資産にとっては中長期的な支えになりやすい一方で、金属全体に対してはコスト上昇と需要不安の両方を同時に呼び込みやすい。つまり、供給障害は銅を押し上げるが、同じ環境が原油高や輸送費高騰を通じて、貴金属の評価を不安定にする可能性もある。
総じて見ると、この週の金属市場は「インフレ懸念だけで一方向に買われる局面」ではなく、金利・ドル・原油・供給障害がそれぞれ異なる金属に別々の影響を与える局面だった。金と銀は金融条件の影響を受けやすく、プラチナとパラジウムは実需の不透明感を抱え、銅は供給制約が下支えする、という構図が比較的はっきりしている。来週は、米金利とドルの落ち着き方に加えて、Grasbergをめぐる供給見通しや追加のPMI指標が、こうした分化をどこまで維持するかが焦点になりそうだ。