2026年7月7日の金属相場概況
全体像
2026年7月7日朝の時点では、金属相場は米国の弱めの雇用統計と原油安を受けて、利上げ警戒がやや後退した流れを引き継いでいる。米6月雇用統計は非農業部門雇用者数の増加が5.7万人にとどまり、前月までの数字も下方修正されたため、金利上昇を強く織り込む動きはいったん和らいだ。一方で、米サービス業PMIはISMで54.0と拡大圏を保っており、景気が急速に崩れているというより、成長は続くが物価と金利の見方を再調整する局面と見るのが自然だ。
ゴールド・シルバー
ゴールドは米国時間7月6日に前月下旬以来の高値圏へ戻し、シルバーも続伸した。背景にあるのは、単純な安全資産買いというより、雇用の鈍化と原油下落によって実質金利上昇への警戒が少し後退したことだ。ただし、ドル指数は大きく崩れず、米10年金利も小幅な動きにとどまっているため、金にとって全面的に追い風がそろったというより、6月後半の売り込みから一度戻りを試している段階と考えたい。
原油とインフレ期待
原油はOPEC+が8月に日量18.8万バレルの追加増産を決め、ホルムズ海峡を通る物流の回復も意識されたことで、インフレ警戒を弱める方向に働いた。原油安は通常、金にとっては実質金利面で支えになりやすいが、同時に資源全体のリスクプレミアムを落とす材料にもなる。そのため、今日の金属相場は「原油安で全部が強い」という単純な形ではなく、金融要因で金・銀が支えられ、産業金属は需要と供給の個別材料を見極める構図になっている。
プラチナ・パラジウム
プラチナとパラジウムは、金や銀ほど金利低下期待だけで説明しにくい。自動車触媒や工業需要に結びつくため、米サービス業の拡大や雇用の底堅さは下支え材料になり得る一方、消費者向け需要や製造業の勢いが一枚岩ではない点は重い。特にパラジウムはEV化や代替需要への警戒が残りやすく、短期的な金相場の戻りに連動しても、それだけで需給環境が改善したとは言い切れない。
銅
銅は、景気敏感金属としての側面と、データセンター・電力インフラ向け素材としての側面が同時に意識されている。ISMの調査では、データセンター建設に必要な部材の不足や、銅・アルミ・電線関連の価格上昇が引き続き示されており、需要の芯は残っている。ただし、米国の関税や在庫移動をめぐる不確実性、ロンドンと米国市場の在庫差、鉱山会社ごとの供給見通しが価格を動かしやすく、景気指標が拡大圏だから銅も素直に上がる、とはまだ言いにくい。
まとめ
今日の焦点は、金属全体が同じ方向に動いているかではなく、金利・原油・実需のどれが主導しているかを分けて見ることにある。ゴールドとシルバーは、米雇用鈍化と原油安を受けた利上げ警戒の緩和で一息ついたが、ドルと米金利がまだ高止まりしている以上、戻りの持続力は次の米物価指標やFRB議事要旨で試される。プラチナ、パラジウム、銅は金融相場だけでは評価しにくく、PMIの中身や供給制約、鉱山会社ニュースを通じて、実需の強さがどこまで価格に残るかを確認する局面だ。