2026年5月24日の金属市況週報
2026年5月24日現在の貴金属・産業金属市場は、週を通じて見ると「金利と原油が上値を抑え、供給懸念が下値を支える」という構図が目立った。日曜時点の整理としては、ゴールドを中心に利食いが先行しやすい一方で、インフレ再加速への警戒が完全には消えておらず、相場は方向感を決め切れていない印象である。
ゴールドは今週、週初から中盤にかけて米10年債利回りの高止まりとドルの底堅さに押されやすかった。Reuters報道では、週末時点でスポット金は4,515.83ドル前後まで下落し、週ベースでも小幅安となる見通しだった。背景には、原油高がインフレ懸念を再び刺激し、米追加利上げ観測が残ったことがある。金は安全資産として買われる局面もあるが、利回りが切り上がると無利息資産としての相対的な魅力はやや薄れやすい。
シルバー、プラチナ、パラジウムも同様に、週後半は売りが優勢だった。金よりも景気敏感な性格が強いため、金利上昇への警戒に加えて、製造業需要の見通しが曇ると反応が大きくなりやすい。もっとも、週中には中東情勢を巡る思惑でいったん反発する場面もあり、全面的な弱気一辺倒というよりは、マクロ要因に振られながらレンジを探る動きだったとみるのが妥当だろう。
銅は、需給の見え方が比較的はっきりしている。ICSGは2026年の精錬銅市場について、従来の黒字見通しから15万トンの不足に転じる可能性を示しており、供給成長の鈍化が意識されている。加えて、Grasbergを含む鉱山トラブルや、チリ、コンゴ、インドネシア周辺の供給不安が、短期の買い材料として残っている。需要面では中国の景況感がまだ強いとは言いにくいが、供給制約のほうが先に価格を支えやすい局面に見える。
今週のPMI関連の材料も、金属市場にとっては重要だった。S&P Globalの米国フラッシュ製造業PMIは55.3と2022年5月以来の高水準に上昇し、製造業の活動自体は想定より強かった。ただし、同時に投入価格や輸送遅延の悪化が目立ち、企業が安全在庫を積み増していることも示された。これは銅や一部工業金属には支えとなる一方、原油高と重なることで利下げ期待を後退させ、結果として金や銀には逆風になりやすい。
総合すると、今週の金属市場は、貴金属では「高値圏の調整」、工業金属では「供給制約を織り込みながらの選別」という形だった。ゴールドはドルと金利、原油の組み合わせ次第で再び振れやすいが、現時点では急伸後の持ち合いに近い。シルバー、プラチナ、パラジウムは景気と金利の両方に敏感で、短期的には振幅が大きくなりやすい。一方で銅は、需要の強さだけではなく、供給障害の積み重ねが相場の下支えとして残っている。