2026年7月23日の金属相場概況
2026年7月23日朝時点の金属相場は、貴金属に買い戻しが入り、銅は高値圏でやや上値を重くする展開となった。ゴールドとシルバーは、前日の海外市場でドルの軟化やテクニカルな買いに支えられ、直近の下落をいったん修正している。一方で、原油高と米金利の高止まりが同時に残っているため、単純なリスク回避による金買いだけで説明するには少し慎重さが必要な局面である。
ゴールドは2週間ぶりの高値圏まで上昇し、米先物でも4,100ドル台半ばを試す動きとなった。シルバーも60ドル近辺まで戻し、工業需要への期待と貴金属全体の買い戻しが重なった形に見える。ただし、この上昇は「インフレ懸念が強いから金が買われた」という一方向の動きではない。中東情勢による安全資産需要、ドル安、短期筋の買い戻し、来週の米連邦公開市場委員会を前にしたポジション調整が重なったものと見る方が自然だろう。
今日の相場を難しくしているのは、原油と金利の組み合わせである。ブレント原油は米国とイランをめぐる緊張を背景に一時95ドル台に乗せ、インフレ再燃への警戒を強めた。米10年債利回りも年初来高値に近い水準で推移しており、本来なら利息を生まないゴールドには重しになりやすい。それでもドル指数が小幅に軟化し、地政学リスクが残ったことで、金利上昇の逆風を完全には価格に織り込まなかったと考えられる。
プラチナとパラジウムも貴金属高に連れて堅調だったが、ゴールドとは性格がやや異なる。プラチナは投資需要と産業需要の両方を持つため、金利低下期待が強まれば支えになりやすい一方、景気指標が弱ければ上値は抑えられる。パラジウムも自動車需要の見方に左右されやすく、足元の反発だけで需給の改善を断定するのは早い。原油高が消費者負担や企業コストを押し上げる場合、産業寄りの貴金属には後から景気面の重さが出る可能性がある。
銅は、前日に6週間ぶりの高値を付けた後、中国勢の高値警戒やインフレ懸念から伸び悩んだ。もっとも、銅の地合いそのものが崩れたというより、在庫減少や米国向け在庫移動、チリなど主要産地の供給不安が下値を支えている構図は続いている。BHPは直近の操業報告で2年連続の約200万トン規模の銅生産を示した一方、低品位化やディーゼル高、供給網の制約にも触れている。AntofagastaやRio Tintoの発表も、増産計画やプロジェクト進捗はあるものの、現物市場の逼迫をすぐに解消する材料とは言い切れない。
このため、23日の金属相場は「金が強く、銅も強い」という単純な同時高ではなく、ドル安と安全資産需要に支えられた貴金属、在庫と供給不安に支えられた銅、そしてその両方に影を落とす原油高・金利高という三層で見る必要がある。S&P Globalの7月フラッシュPMIは、原油高が企業コストや需要にどの程度波及したかを確認する材料になる。PMIと来週の米金融政策を通過するまでは、今日の反発を新しい上昇トレンドの確定とまでは置かず、買い戻しの持続力と原油・金利の再加速を並べて見る局面だろう。