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market-analysis2026-05-04

2026年5月4日の金属相場概況

Written by metal
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5月4日朝時点の金属市場は、原油高が相場全体を押し上げるというより、その反作用としてのインフレ懸念と金利観測が金属ごとの強弱を分けている。週末にOPEC+は6月の生産目標を日量18.8万バレル引き上げる方針を決めたが、Reutersが伝えた通り、ホルムズ海峡の混乱が続く限りこの増産はなお象徴的な意味合いが強い。一方で足元の画面では、ブレントは1バレル108ドル前後、WTIは102ドル前後までやや反落しており、供給不安が消えたというより、極端な上振れのあとに市場が実際の供給回復力を冷静に見直している局面に見える。

この環境では、ゴールドとシルバーには下値を支える材料と上値を抑える材料が同時に存在する。金先物は4,660ドル台、銀先物は76ドル台まで持ち直しているが、これは有事そのものより、原油高が一服したことで米長期金利の上昇圧力がやや和らいだ面が大きいだろう。ただし、4月29日のFOMCではFRBがインフレ警戒を強め、据え置き判断が1992年以来で最も割れた投票になった。ドルも大きく崩れていないため、金が安全資産として買われても一本調子では上がりにくく、銀も景気敏感さを伴うぶん値動きが荒くなりやすい。

銅には、貴金属とは別の支えが残っている。中国の4月製造業PMIは公式指数が50.3と拡大圏を維持し、新規輸出受注も50.3へ改善した。加えてS&P Global系の中国PMIでも、2020年末以来で最も強い業況改善と、2024年6月以来で最も速い生産拡大が示されている。現時点の銅先物は6.01ドル台と高値圏を維持しており、少なくとも短期的には「景気が悪いから銅がすぐ崩れる」という地合いではない。ただしReutersも指摘するように、輸送混乱やコスト上昇を見越した前倒し出荷の影響が含まれているため、これをそのまま最終需要の本格回復と読むのはまだ早い。

供給面では、銅の上昇余地を一方向に広げる材料ばかりでもない。Rio Tintoは第1四半期の銅生産が前年比9%増だったと公表し、BHPもEscondidaとAntaminaの強い稼働を背景に、2026年度の銅生産がガイダンス上限寄りで着地する見通しを示した。つまり、需給が逼迫しやすい構図は続いていても、大手の増産がまったく止まっているわけではない。その一方で、米ISMの4月製造業指数は52.7と拡大圏を保ちながら、投入コストは4年ぶりの高水準となっており、エネルギーと物流の負担が残る限り、銅は高コスト下の底堅さを維持しやすい。

プラチナとパラジウムは、金と銅の中間にあるような位置づけになっている。Sibanye-Stillwaterの表示価格では、足元のプラチナは2,000ドル前後、パラジウムは1,510ドル前後で、プラチナのほうが相対的に安定している。金属全体のリスク選好が戻れば追随しやすいが、パラジウムは依然として自動車触媒需要への依存が大きく、景気や自動車販売の鈍化懸念が残る局面では評価が伸びにくい。プラチナも金の代替需要や貴金属全体の地合いに支えられうる一方、持続的な上昇には工業需要の裏付けがなお必要だろう。

総じてみると、5月4日の金属市場は、原油ショックそのものよりも、それがインフレ、政策金利、製造業活動、物流コストにどう波及するかを各金属が別々に織り込んでいる。金と銀には防御需要が残るが、FRBの姿勢とドルが重石になりやすい。銅はPMIの底堅さで支えられているが、需要の質はまだ見極めが必要で、白金族金属は景気敏感さの分だけ選別が強い。全面高にも全面安にも傾き切らず、金属ごとの論理がややはっきりしてきた一日として捉えるのが自然に思われる。

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