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market-analysis2026-05-10

2026年5月第2週の金属市場週間レポート

Written by metal
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2026年5月第2週の金属市場は、週前半に中東情勢と原油高を起点にインフレ懸念が強まり、その後はドルと米金利の落ち着きで貴金属が持ち直す、やや揺れの大きい週だった。金は週末にかけて 4,720ドル前後まで戻し、シルバーも 80ドル台まで上昇した。いずれも安全資産としての需要は残るが、上値は「地政学リスクで買われる力」と「高い実質金利で抑えられる力」の綱引きになっている。

金の動きは、週前半の下押しから週末の戻りまでを一つの流れで見ると分かりやすい。米国とイランをめぐる緊張は引き続き有事買いを呼び込んだ一方、週末には米長期金利の低下とドル安が支えとなり、金とシルバーの週間ベースではリバウンドが優勢だった。もっとも、金は2週連続の調整を止めたとはいえ、前回高値圏の近くでは利食いも出やすく、一本調子の上昇局面に戻ったとまでは言いにくい。

原油はこの週も金属相場の背景として重かった。中東での緊張が高まる局面ではブレントが100ドル近辺、あるいはそれを上回る水準で推移し、インフレ再加速への警戒が金利見通しを押し上げた。週末には和平期待で原油が100ドルを割り込む場面もあったが、相場はなお「原油高が続けば高金利が長引く」という経路を完全には外していない。金属市場にとっては、原油そのものより、原油がドルと金利に波及する二次効果のほうが大きかったと言える。

需要側では、S&P Globalの4月米製造業PMIが、購買活動の伸びとサプライヤー遅延が2022年以来で最も強い水準になったことを示し、世界PMIの解説でも4月の投入価格上昇が2022年6月以来で最も急だった。これは、単純な需要回復というより、供給障害と在庫積み増しが景況感を押し上げている面が大きいことを示唆する。銅にとっては支えになりうる一方で、インフレ圧力を通じて金利高止まりの材料にもなるため、全面的な追い風とは言い切れない。

銅はそのねじれをよく映した。Reutersは今週、銅が週間では弱含みで、脆弱な停戦観測と供給過剰見通しが重しになったと伝えた一方、企業側では供給不安が完全に消えたわけではない。Anglo Americanは2026年の銅生産ガイダンスを引き下げ、BHPはEscondidaとAntaminaの好調を背景に生産がガイダンス上限寄りになる見通しを示した。つまり銅は、需要期待だけで上がる相場でも、供給不安だけで一直線に上がる相場でもなく、景気と供給の両方をその都度見直す局面にある。

プラチナとパラジウムは、金ほどの防御需要もなく、銅ほどの景気敏感さもないため、週内の値動きは比較的落ち着いていた。Reutersベースでは、プラチナとパラジウムは依然として2026年の供給タイト感や価格見通しの引き上げが意識されているが、足元の週次では金のような勢いは出にくい。総じて5月第2週は、金と銀が地政学リスクとドル安で戻し、銅はPMIと供給材料の綱引き、白金族は供給の薄さに支えられつつも選別が続く、という整理が妥当だろう。結果として、今週の金属市場は単一のテーマではなく、原油、ドル、金利、PMI、供給障害、鉱山会社ニュースがそれぞれ別の重みで効いた週だった。

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