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2026年5月5日の金属相場概況

Written by metal
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5月5日朝時点の金属市場は、貴金属にやや逆風、銅にはなお支えが残るという割れた地合いになっている。Reutersが4日に伝えた通り、米国とイランを巡る緊張継続でドルが強含み、原油高を通じたインフレ懸念も再び意識されたことで、ゴールドは4,520ドル前後まで下落し、シルバー、プラチナ、パラジウムもそろって軟化した。安全資産としての金を買う理由は残るものの、同じ地政学リスクが「金利は高止まりしやすい」という連想も呼び込みやすく、この日は後者の重さが勝ったと見られる。

背景にあるのは、原油が依然として100ドルを大きく上回っていることだ。Reutersによれば、OPEC+は6月の生産目標を日量18.8万バレル引き上げる方針を決めたが、ホルムズ海峡の混乱が続く限り、この増産はなお象徴的な意味合いが強い。ブレントは109ドル前後、WTIは103ドル前後を維持しており、市場は供給正常化をまだ十分には織り込んでいない。これがドルの支えと米金利の高止まり観測につながり、利息を生まない金や銀には逆風になっている。

一方で、銅は全面安に巻き込まれにくい材料を持っている。S&P GlobalとRatingDogの4月中国製造業PMIは52.2と、2020年末以来で最も強い改善を示し、生産の伸びも2024年6月以来の高水準だった。Reutersも先週、押し目では中国勢の買いが入り、加えて中東情勢を受けた硫酸やディーゼルの供給懸念が銅価格を支えていると報じた。中国連休中で取引が薄く、短期の値動きはやや誇張されやすいが、少なくとも現時点では銅だけが景気失速を先取りして崩れているわけではない。

ただし、この銅の強さもそのまま最終需要の回復と断定するには早い。S&P Globalの4月米国フラッシュPMIでは製造業PMIが54.0まで上がった一方、サービス業は51.3にとどまり、製造業の強さにも在庫積み増しの影響が含まれると示唆された。つまり、供給不安や値上がり前の確保が生産と発注を押し上げている面があり、需要の質はまだ見極めが必要ということになる。工業金属全体にとっては好材料と警戒材料が同時に存在している。

供給面でも、銅の上値を一方向に追いやる状況ではない。BHPはEscondidaとAntaminaの強い稼働を背景に、2026年度の銅生産がガイダンス上限寄りになる見通しを示し、Rio TintoもOyu Tolgoiの立ち上がりを主因に第1四半期の銅生産が前年比9%増だったと公表した。大手が着実に増産している以上、銅は供給不安だけで上がるというより、中国景況感の持続と物流制約の長期化が同時に残るかどうかを試す局面にある。

プラチナとパラジウムは、金と銅の中間のような位置にある。両者ともこの日はドル高と貴金属全体の調整に引きずられたが、プラチナはなお金の代替需要や供給面への意識が下支えになりやすい一方、パラジウムは自動車需要の鈍化懸念により戻りの持続力を欠きやすい。総じて5月5日朝の金属市場は、地政学リスクが単純な全面高を生む局面ではなく、原油、ドル、金利、PMI、供給障害が金属ごとに異なる形で効いている。貴金属には短期調整圧力が残る一方、銅は底堅さを保っているが、その強さの中身はまだ慎重に見たほうがよさそうだ。

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