2026年5月2日の金属相場概況
5月2日時点の金属市場は、全面的なリスク回復というより、原油高と高止まりする米金利の圧力の中で、金属ごとに反応が分かれている。4月29日のFOMC後、米国では年内利下げ観測が後退し、Reutersが伝えた通り米国債利回りは約1カ月ぶりの高水準、ドルも2週間ぶりの高値圏に持ち上がった。中東情勢を受けた原油高がインフレ懸念を押し上げる局面では、金属市場でも「安全資産だから一律に強い」というより、金利と景気の経路をどう織り込むかの差が値動きを分けやすい。
そのため、ゴールドとシルバーには戻り売りが出やすかった。WSJによると、4月29日の金先物は1.02%安の4,545.20ドル、銀先物は2.25%安の71.569ドルで引け、どちらも数営業日続落となった。地政学リスクそのものはなお残るが、ドル高と実質金利の上昇が続く間は、金銀にとっては追い風と逆風が同時に存在する形になる。価格が下がったから弱気転換とまでは言い切れない一方、年初のような一方向の上昇局面にもまだ戻っていない。
プラチナとパラジウムも、貴金属全体の地合いに引っ張られつつ、より景気敏感な色合いを見せた。足元ではドル高だけでなく、景気減速が自動車需要に与える影響も意識されやすく、金より戻りが不安定になりやすい。原油高が長引けばインフレ経由で中央銀行を慎重にさせる一方、消費や生産には逆風になりうるため、白金族金属には金融要因と実需要因が逆向きに働きやすい。現時点では、短期反発があっても基調の強さを確認するには材料が足りない。
一方、銅はやや異なる構図にある。4月30日に発表された中国の4月製造業PMIは、公式指数が50.3と拡大圏を維持し、Reutersが伝えた民間のS&P Global系PMIも52.2と2020年末以来の高水準だった。さらに5月1日公表のS&P Globalの4月製造業PMIでは、日本が55.1、米国が54.5といずれも強めの結果になっており、製造業の受注や在庫積み増しがなお銅需要を支えていることがうかがえる。もっとも、戦争や輸送遅延を見越した前倒し発注の影響も含まれているため、これをそのまま持続的需要と読むのは早い。
供給面でも銅の下値を支える要因は残っている。Reutersによれば、Freeport-McMoRanは4月23日にインドネシアのGrasberg鉱山の回復見通しを引き下げ、下期までに戻る生産は従来想定の85%ではなく約65%にとどまるとした。加えて、CodelcoやTeckも中東情勢に伴うディーゼルや硫酸コストの上昇に触れており、Goldman Sachsもホルムズ海峡の混乱と中国の硫酸輸出停止が銅供給のリスクになりうると指摘している。需要指標が強めでも価格が伸び切らないのは、高金利と景気不安が上値を抑える一方、供給制約が下値を支えるためだろう。
総じてみると、5月2日の金属市場は、ゴールドとシルバーがドル・金利高に押され、プラチナとパラジウムがその上に景気敏感さを背負い、銅だけがPMIの強さと供給不安で相対的に底堅いという並びに見える。原油が高止まりしたままなら、インフレ懸念は金属価格の支えにも重荷にもなりうる。現段階では、金属全体が同じ方向へ走る局面というより、エネルギー、金利、景況感、供給制約のどれが主導権を取るかを見極める時間帯として、慎重に捉えるのが自然に思われる。